JICAの試験官が見ているのはココだ!
以下の話は、2016年10月25日に池袋サンシャインで行われたJICAボランティアの説明会での企画の一つで、実際にコミュニティ開発の面接官でいらっしゃる方が、「こういう視点で選考します」と実際におっしゃっていたものです。その時のノートを転記してみます。
2016年10月25日のJICAボランティア説明会@池袋より
「コミュニティ開発」という職種の捉え方について
「コミュニティ開発」は専門性を持たなくとも応募が可能な職種の一つです。かといって、自分には専門技術がないから仕方なくコミュニティ開発を選ぶというものではない。そもそも現在の日本にコミュニティ開発という職業がないのだから。
では実際にコミュニティ開発が現場で行うことは何か?
順を追って説明すると、
現状調査(フィールドワーク)⇒住民ニーズの理解⇒住民とともに活動の在り方を話し合う(ワークショップ)⇒活動の立案・企画⇒活動開始
つまり、メインの活動に至るまでの道のりは険しく時間がかかる。しかも住民との相互の話し合いによって活動を作り上げていくので成果も多様に生まれ、中には予期しないものもある。よって、協力隊には明確な成果目標というものを課していない。
「コミュニティ開発」という職種を言い換えると…
- 「住みよい暮らしをつくる」こと
- 「指導」するのではなく(生活スタイルが違うので難しい)、一緒に学んでいく姿勢をもつこと(民衆思考・草の根思考)
- 具体的に実現可能な活動・解決策を作り上げること
- 特定の分野や技術に限定せず多様な取り組みをすること
- 総合的な視点・公益視点・長期的な展望をもって取り組むこと(人づくり・社会づくりに携わること)
では上記のような活動を行うのに必要な素養は何か?
- 人々の生活を改善しようという情熱
- 社交性(誰とでも話せる)
- 社会性(人間関係を把握できる力)
- 創造性(新しいアイデア)
- コーディネーション力(取りまとめる力)
- 説得力(エピソードをもって話ができるか?)
- 異文化理解力
- なんでも食べる、どこでも生活できる適応力
- 健康な体と体力
必要な経験は何か?
- 営業・企画・街づくり・ボランティア
- 国際交流・開発学・農学・留学・海外での就労
- 保健衛生・農林水産・コンピュータ・物づくり・手芸・食品加工
ではどういう人を採用するのか?
相手に届くように「私を分かって!」と伝えられる人=やさしい表現で自分を表現できる人=論理的に表現できる人
なぜなら。
「コミュニティ開発では活動を一時的なものではなく、社会的に根付かせることを目標としているため」
つまり
「植林や稲作のスキルそのものよりも、そのメリットをきちんと説明できることが大切」である。
その他、一次選考受験に際しての注意点
- 職種別試験問題には字数制限がありますが、実際には多少少なくても多くても、合否には関係ないそうです。字数制限をしないと限られた紙面に米粒のような字で書く受験者がいて、読むのが大変だから制限しているに過ぎないとのこと。
- 質問に対しての拡大解釈もOKだそう。きちんとつじつまの合う文章であることが大事だとの事です。
- 職種別試験問題 問7の「コミュニティ開発を一言(30字)で述べること」はキャッチコピー的なものを考えれば良いのだそうです。どんな内容を書いても選考には影響しないそうです。要するに考え方を知ることで、グルーピングに使うそうです。似た者同士で集めたり、違う者同士で集めたり。
- 限られた紙面に字数制限たっぷり、しかも見やすく書きたい!パソコンのワードで記入しプリントアウトしたものを添付して提出してもOK!手書きよりも断然きれいに、多くの文字数を含むことができます。
- 応募用紙と職種別試験問題。読んでいる人は同じ。つまりそれぞれで質問内容が重複しているが内容や論理は一致させておいたほうがいい。
- ちなみに、1次選考過程においては、顔写真や住所などは一切を見ることなく、純粋に受験者が書いた内容のみで審査を行っているとのこと。だからコネは一切利きませんとのことでした。
- 解答用紙にイラストを載せてくる受験者がいる。完全にNGとは言わないが、イラストの内容が伝わらない可能性を十分に理解しておくこと。との忠告もありました。
私がこのお話を聞いたとき、とにかく「論理的」な人が採用されるのだなー、という印象でした。
以上、遠方にお住まいの方や、時間のない方は参考にしてみてください。